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ブラジル音楽の新しい才能を楽しもう!

Laboratório Tropical Vol.01

“気骨とブラジル魂に溢れた本物のコンピレーションアルバム『ラボラトリオ・トロピカル Vol.01』爆誕!!”

いやいや、これは久しぶりに聴いた瞬間ガツンと来ました!10月31日に突如リリースされた『ラボラトリオ・トロピカル』すなわち「トロピカルラボ」。ブラジル!!🇧🇷ブラジル!!🇧🇷✨

2025年10月31日『ラボラトリオ・トロピカル Vol.01(ヴォルーミ・ウン)』

気になりまくって検索したら今回は珍しく(!)いろいろヒットしまして、これまた珍しく少し長めにじっくり紹介しようと思います^^/


🎧レーベル&アルバムコンセプト

このコンピレーションアルバムは、複数の地域・ジャンルのアーティストを集めたコラボ的プロジェクト。
リリース元は、Dahouse Áudio (ダハウス・アウヂオ)プロダクションのレーベルである Lab Dorsal(ラボ・ドルサル)。Laboratório(実験室)+ Dorsal(「背の」意)で、ブラジル音楽の“背骨”になるようにとの意味合いで、リオデジャネイロを中心に活動している様子。YouTubeのチャンネル「DORSAL TV」に概要がある。

「Dorsal は単なるレーベルではなく、トロピカルな創造的集合体である。音楽市場に対するオルタナティブ(もうひとつの選択肢)として、コミュニティとして、そしてプラットフォームとして生まれた。声と夢と地域が出会い、ブラジルでしか生まれ得ないものを創り出す実験室(ラボ)なのである。ここでは、すべてのアーティストが音楽的な魂であり、自らのルーツ、物語、そして真実を作品へと変える創造的存在だ。私たちにはひとつの確信がある。それは――ブラジル音楽の未来は、多様で、情感に満ち、そして反骨的であるということ。」

アルバムに参加しているアーティスト陣(DORSAL TV)

ここからは、ブラジルのアート&カルチャーを紹介するポータルサイト「Pretessências(プレテセンシアス)」に掲載されている記事を元にアルバムと収録曲を紹介していくYO! ポルトガル語が分かる方はリンクをお読みいただればOK!笑。*AI翻訳を用いて適宜修正

引用&参照元:
Coletânea ‘Laboratório Tropical Vol.1’ reúne nomes como Getúlio Abelha, Ju Strassacapa, Louise França, Rimon Guimarães, Luê, Irma Ferreira e mais

このアルバムには、ブラジルの8つの州から16組のアーティストが参加し、プロデューサー、ミュージシャン、作曲家などを含めると30名以上が関わっている。

プロジェクトの発案者であり音楽ディレクターを務めるJoão Davi(ジョアン・ダヴィ)の言葉を紹介する。

「この最初のアルバムでは、私たちのこれからの姿勢と市場でのあり方の基本を示しています。異なる場所、異なるスタイルの人たちが垣根のない音楽づくりのために集まり、ブラジルという広大な国の地理的・文化的なルーツをさらに力強く打ち出しています。私たちは、アルゴリズムのせいで本来なら出会えなかったリスナー層にも、こうした幅広い美学を届けることで、各アーティストの音楽がより広がることを願っています。」

「正直に言えば、他のアーティストやレーベルにも、本当の力は人間、芸術、そして出会いにあるということを理解してもらいたいと思っています。集合的な力(協働の力)こそが、大企業やビッグテックに支配された市場の中で、参加の機会すら与えられない人々を前進させる原動力になるのです。でも、私たちアーティストこそが最大の“資源(コモディティ)”を持っている。私たちがいなければ、産業には何ひとつ提供するものなどないのです。」

「コンピレーションという形式は新しいものではありませんが、デジタル時代ではあまり使われていません。今はプレイリストやフィーチャリングは多いですが、異なるスタイルを本気で融合させたアルバムは少ない。『Laboratório Tropical』は単なるプレイリストではありません。ここでは“出会い”そのものが新しい音楽を生み、招かれたアーティストたちは制作と結果の両方に積極的に関わり、ただ曲を集めただけではない融合を生み出しています。それはまるで、かつてのTropicáliaのようです。」

「今回のフィーチャリングは、“ありえなさ(improbabilidade)”を基準に決めました。それぞれのアーティストを快適な領域(コンフォートゾーン)から引き離し、普段なら考えもしないようなスタイルやコラボレーションを試す――それがこの企画の唯一のルールでした。」

これらの言葉を受けた引用元の記事の批評も素晴らしい。

「これは単なるコンピレーションではなく、アルゴリズムへの反抗、搾取的な音楽産業への抵抗、そして創造の自由のためのマニフェスト(宣言)である。それぞれの楽曲は、親交、実験、そしてお互いに対する好奇心から生まれたものであり、孤立した環境や単なるデジタル上のフィーチャリング(コラボ)からは決して生まれ得ない音楽が生み出されている。」


🎧曲紹介

では、さっそく全8曲をそれぞれ詳しく見ていこう。以下はバイーア州はサルヴァドールの情報を主に発信しているポータルサイト「Aldeia Nagô(アルデイア・ナゴー)」の記事を「(括弧)」で引用します。参加アーティストによるコメントも元記事にあります。*AI翻訳を元に適宜修正。各アーティストの簡単なプロフィールを*に付けました。

引用&参照元:
A coletânea ‘Laboratório Tropical traz encontros, diversidade e resistência criativa

  1. 「Buena Onda(ブエナ・オンダ)」(Amanda Pacífico & Layse)

Buenaはスペイン語で「良い」、ondaはポルトガル語で「wave」のことですね。

「ラテンとブラジルの要素を融合した温かみのあるポップスで幕を開ける。ラテンアメリカの女性をたたえる楽曲で、声とカリブのパーカッション、踊れるビート、そして「自由」と「力強さ」を歌う歌詞が響く。」

Amanda Pacífico(アマンダ・パシフィコ)
「このメロディーの話になったときから、私たちは「ラテンの仲間たち」と対話するような音を目指していました。その要素はすでに、私たちパラー州の音楽性の中に息づいています。歌詞は遠隔でやり取りしながら一緒に書きました。私が最初の節を送って、ライージ が続きを書き、最後は一緒に「揚げ魚を食べよう」と集まって仕上げたんです。歌詞のテーマは、ラテンアメリカとカリブの女性の力強さと自由を称えること。“国境の女(mulher da fronteira)”を歌うとき、私たちは多くの象徴的な女性たちを思い浮かべます。そのひとりが、ボリビア国境近くのマトグロッソ州の「キロンボ」(逃亡奴隷の共同体)のリーダーだったテレーザ・デ・ベンゲーラ。抵抗と勇気のシンボルです。「Buena Onda」 が、自由な身体を世界に踊らせる波(onda)のようなムーブメントになってほしいと願っています。」
*パラー州ベレン市生まれ、歌手、作曲家。バンドMulamba(ムランバ)の元メンバー。

Layse(ライージ)
「ブラジル各地を旅しながら音楽を探っていくうちに、ブラジルはラテンの国だということを強く感じました。特にここパラー州では、その「ラテンらしさ」をとても生き生きと体現しています。汗の中に、言葉遣いに、生き方そのものに。型やステレオタイプを超えた美しさをもつ女性たちはまるで魔法使いのようで、その美しさが内側から来るもの(歩き方や魅力)だからこそ、すべての女性が自分の中に見いだせる力なんです。この曲は、そのエネルギーを感じさせます。キューバ的な要素に、ドラマーAlana(アラーナ)のモダンなリズムが加わり、甘い声のささやきが重なる「Buena Onda」 は、ブラジルの血に流れるラテンの力への乾杯のような曲だと思います。」
*パラー州ベレン市出身。マルチプレイヤー、歌手、作曲家。

アーティスト自身による紹介付き曲紹介はこちら🎧この2人の女性ミュージシャンを見てるだけでめちゃくちゃ元気になります😊👍かっこえぇ〜!

2.「Essa Novela(エッサ・ノヴェーラ)」(Getúlio Abelha & Louise França)

Novelaは「連続テレビ小説」のこと。Essaは英語のthatやthisにあたる「その」or「この」。

「エレクトロ・フォホーとブレガ・ポップをミックスし、恋愛の感情や波乱をキャッチーなリフレインで描く。ギターと歌による素朴なパートと、シンセ的なプロダクションが交錯する構成。」

Getúlio Abelha(ジェトゥリオ・アベーリャ)
「音楽というのはたくさんのリファレンス(影響)でできています。この曲も、多くの人のアイデアとコラボレーションの中で自然に生まれました。特に、フォホーの要素が入ったリフレインと、時折見られるブレガの柔らかいグルーヴに強く惹かれます。それが、自分がいちばん歌っていて心地よい音楽スタイルに近く、同時に私だけでなくルイージのルーツとも重なっている。最初は声とギターだけの曲だったのが、最終的にポップで少しレトロなフォホー・エレトロニコ(=エレクトリック)になっていく過程がとても面白かったです。」
*1992年ピアウイ州テレジーナ市生まれ。歌手、作曲家、俳優。サンパウロ在住。

Louise França(ルイージ・フランサ)
「正直、この音楽をひとことで定義するのは難しいです。でもブラジルの音楽家って、要素を混ぜて“ブラジルらしい音”を作るのが本当に上手なんです。子どもの頃、母と継父がやっていたフォホー・バンドに時々出演していて、この曲にもその雰囲気が強くあります。だからとても自然に心がつながりました。自分が育ち、聴いて、歌ってきた音楽そのものなんです。」
*ペルナンブーコ州出身。歌手、作曲家、俳優。マンギビートの創始者である故シコ・サイエンスの娘。

3.「Mossa(モッサ)」(Dante Oxidante & Zé Cafofinho)

アシェー(Axé)のグルーヴと実験的要素で”パーティーの後の余韻”をとらえる。伝統と現代性の出会いであり、”身体とリズム”を中心に据えた楽曲」

Dante Oxidante(ダンチ・オクシダンチ)
「Mossa」 を初めて聴いたとき、自分の音の世界(オーガニックでモダン、そしてアシェーの力に満ちたサウンド)と通じるものをすぐに感じました。この曲を歌うことは、他の声の中に自分を見つけることのようでした。」
*バイーア州サルヴァドール市出身。ミュージシャン、作曲家。

Zé Cafofinho(ゼー・カフォフィーニョ)
「この曲は、「パーティー」がもついろんな側面の祝祭です。出会い、視線、交流、準備、盛り上がり、そして私は“パーティーが終わった後の時間”にいる。朝日が昇って、「もうお菓子(楽しみ)はなくなった」けれど、それでもまだ踊り続けている、そんな瞬間です。」
*ペルナンブーコ州レシフェ市出身、サンパウロ在住。歌手、作曲家、演奏家。

4.「Marcapasso(マルカパッソ)」(Alienação Afrofuturista & Dr. Drumah)

「心臓の鼓動のように脈打つリズムのマニフェスト。“ペースメーカー”のようにビートが響き、アフロフューチャリズムとローファイが、「ケア」「抵抗」「生命のリズム」を語る。」

Alienação Afrofuturista(アリエナサォン・アフロフトゥリスタ)
ドクター・ドゥルマのビートと心臓のペースメーカー(marcapasso)のような感覚でつながっています。困難に向かって心が主張し、道を創り出してくれるリズムなんです。
*歌手、作曲家。パラナ州西部のテラローシャの肥沃な大地にルーツを持つ。フォス・ド・イグアス市出身、クリチバに移住。

Dr. Drumah(ドクター・ドゥルマ)
ビートと歌詞を通じて、この曲の世界とつながっています。自分の音のリファレンスを新しい形で混ぜ、Alienação の宇宙と融合させる挑戦でした。
*バイーア州出身のドラマー、ビートメーカー。本名ジョルジ・ドゥブマン(Jorge Dubman)。

5.「A Voz Que Vem Antes do Tempo(ア・ヴォス・キ・ヴェン・アンチス・ド・テンポ)」(Irma Ferreira & Rimon Guimarães)

「敬虔な歌唱と儀式のようなパーカッション、そして記憶と内なる聴覚を呼び覚ます多層的なサウンドによって、”祖先性”と”帰属意識”に深く入り込んでいく曲。」

Irma Ferreira(イルマ・フェヘイラ)
「この曲は「祖先性と帰属意識」を融合させたもので、この曲の音楽性は技術という概念を超えたものです。まるごと深く、芸術をつくるとはどういうことかを体現しています。歌うとき、自分より前にあった記憶を敬い、それをいまに変えていると感じます。歌詞の一言ひとことが、私という現在と、過去すべてをつなぐ橋になっている。作曲者であり友人・兄弟のような存在でもあるElinas(エリナス)に、心から感謝しています。」
*バイーア州出身。歌手、研究者。2023年にヨーロッパのレーベルからデビューを果たす。

Rimon Guimarães(ヒモン・ギマランイス)
「この曲は、今の時代の「速さ」や「浅さ」に逆らう音楽です。禅的な音楽であり、祖先や人生の道筋、出会い、そして生まれる前から背負っている願いや祝福について語ります。不平等な世界の中で私たちを守る目に見えない力についての歌でもあります。」
*1988年パラナ州クリチバ市出身。画家、アーティスト、歌手、作曲家。ワールドワイドで活動中。2008年から作曲を始め、地元のアーティストやバンドと組む。歌詞には政治・社会的に強いメッセージを盛り込む。

6.「Hoje Sinto Medo(オージ・シント・メード)」(2DE1 & Ju Strassacapa)

「告白的でメランコリックなトーンの曲。ミニマルなアレンジと弦楽器の響きの中で、「不安」や「芸術をつくる意味の探求」が歌われる。」

2DE1(ドイス・ヂ・ウン)
「この曲は「空中で止まったままの叫び」から生まれました。インディー系アーティストとして音楽を続ける中で感じる幻滅や挫折、そして音楽そのものへの不安。「音楽がなければ自分は何者なのか?」「音楽を作らなければ、自分は存在できるのか?」そんな問いとともに、矛盾するようにこの曲は“生きるための原初的なインスピレーション”として現れました。今日、私は恐れを感じている。では明日は?何が来るのだろう。」
*サンパウロ州サントス市出身の双子デュオ。

Juliana Strassacapa(ジュリアナ・ストラサカッパ)
「今、私は長い人生のサイクルを終え、新しい夢や長年温めてきたプロジェクトへと向かう転換期にいます。Francisco, el Hombre(フランシスコ、エル・オンブレ)との時間を経て、自由と新しさ、未知、終わりと始まり――それらは同時に恐れと不安をも呼び起こします。この曲の「交差地点での脆さ」にとても共感します。そしてそこに希望を感じます。『夢見るだけではもう足りない。夢は自分の手で築いていくもの』。」
*歌手、作曲家、パーカッショニスト。サンパウロ州カンピーナス市で2013年に結成し25年まで活動していたバンドFrancisco el hombreのボーカル。

7.「Três Sóis(トレス・ソイス)」(Realleza & Otis Selimane)

Trêsは数字の「3」、Sóisは「太陽(sol)」の複数形。なので「3つの太陽」という意味ですね。

「映画のような質感とアフリカのパーカッションが砂漠や蜃気楼を思わせ、出会いや感情のオアシスを描き出す。」

Otis Selemani(オティス・セレマニ)
「『Três Sóis(三つの太陽)』は、砂漠の美学を描きたいという想いから生まれました。果てしなく続く大地と照りつける太陽――そこに突然現れるオアシス。その静寂と幻影を音にしたかった。私とRealleza(ヘアレーザ)、それぞれの音楽的嗜好と感性を持ち寄り、伝統的な要素と現代的なサウンドを融合させました。この音は、私たち二人の出会いそのものを表していると思います。」
*モザンビーク出身、幼少期を首都マプトで過ごす。パーカッショニスト、ドラマー、歌手、作曲家、教育者(教師)。

残念ながら女性歌手のRealleza(ヘアレーザ)からのコメントが掲載されていないので、代わりに本人出演の動画を貼っておきます。字幕はポルトガル語のみですが^^; 本名はRebeca Elen(ヘベッカ・エレン)。ラッパー、作曲家、歌手、アクティビスト。ブラジルの首都ブラジリアから約35キロにあるファヴェーラSol Nascente(ソル・ナセンチ)在住。2023年にリオデジャネイロのRocinha(ホシーニャ)を抜いてブラジル最大のファヴェーラとなった。

8.「Coração Tropical(コラサォン・トロピカル)」(PECI & Luê)

Coraçãoは「心」なので「トロピカルな心」ってのが直訳ですね。

「この曲は、ブラジルの自然へのラブレターとしてアルバムを締めくくる。川の音、ハベッカ(北東部のバイオリンに似た弦楽器)などの要素を取り入れ、地域の結びつきと祝祭を称えるトロピカリズモ的ポップな美学を表現している。」

PECI(ペシ)
「この曲は、ブラジル各地に住む作曲家同士の会話から生まれました。お互いの芸術に共通するものを探していく中で、「愛」というテーマが私たちを結びつけたんです。北部の文化や川の話をするうちに、ブラジルの自然へのラブレターのような曲ができあがりました。カイピーラ音楽へのオマージュとして、ギターがヴィオラのように鳴り、滝の「シュワー」という音を思わせるチューニングを使い、ジルベルト・ジル風のトロピカリズモ的な明るさを添えています。録音してみて気づいたのですが、私の出身地パラナと、Luêの出身地パラー、どちらも川の名前に由来しているんです。まるでこの曲の運命が、最初から水の流れに導かれていたようでした。」
*以前はPedro Cini(ペドロ・シニ)名義で活動。パラナ州クリチバ市出身。歌手、作曲家。

Luê(ルエ)
「この曲の制作は、私にとって驚きの連続でした。ビデオ通話で作曲するのは初めてでしたが、すべてが自然に流れました。私たちはお互いの出身地について話し、土地がどのように自分たちの音楽や生き方を形づくっているかを感じ取りました。それぞれの音楽的リファレンスを重ねながら、最終的に、南のペシと北の私を結ぶ愛の歌ができました。結局のところ、「愛を語ること」はいつだって普遍的なんです。」
*幼少期からパラー州ベレン市の音楽学校で勉強を始める。歌手、作曲家。ハベッカも演奏。


🎧まとめ

聴けば聴くほど中毒になる危険なアルバムですネ!!この全員が集まるライブがあったら行きたい!!ぜひ、みなさんも曲解説を読みながらそれぞれの曲をじっくり聴いてみてください。ブラジルという国の面白さと魅力が満載のアルバムです!!🇧🇷✨

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