”多彩すぎてもうどう形容したら良いのかお手上げです。伸びやかで表情豊かな歌声とノージャンルの作詞作曲の才能を武器にブラジルと現代を軽やかに駆け抜けるアマンダ・マガリャンイス”
あっという間に2026年の初投稿が2月になってしまいました!
が、旧暦の新年を迎えた今日この頃ということで…Feliz ano novo!!
今年はもう少し更新頻度を上げたいです(たぶん)
さて、新年早々、キレっキレな才能溢れまくりのアーティストを見つけました!!
アマンダ自身の作詞作曲プロデュースによる「Amores vêm e vão(恋は来ては去っていくもの)」。ブラジル独特のリズム(バイーアのパゴダォン)に、アマンダの表現力豊かな美しく聞きやすい声と素晴らしい歌唱力が、洒落たアレンジの上に見事に乗っています!!かっこえぇ〜。なんとこのビデオクリップは編集アプリを使って自宅で制作したものだとか👀!音楽以外でも持ち前のセンスの良さを発揮してますね。なんでもロマンティックなラブソングはこれで最後で、これからはもっと社会的な作品に取り組んでいくとのこと。アマンダにとって、まさに恋のサイクルが一巡りするような転換期に来ているのでしょう。
これは自作曲ではないのですが、プロデューサーはWilliam Magalhães(ウィリアム・マガリャンイス)。ここでピンと来た方!!そうです!ブラジルファンクを代表するBanda Black Rio(現地発音だとバンダ・ブラッキ・ヒオ)の現在の中心メンバーです!!そしてアマンダのお父さんなのです!!ということは、Banda Black Rioの創設メンバーであるOberdan Magalhães(オベルダン・マガリャンイス)を祖父に持つということになります。
こちらはAssis Valente(アシス・ヴァレンチ)」の名曲「ブラジル・パンデイロ」。1972年にNovos Baianos(ノーヴォス・バイアーノス)が歌ってリバイバイルヒット。Novos BaianosのボーカルといえばBaby do Brasil(ベイビー・ド・ブラジル)ことBaby Consuelo(ベイビー・コンスエロ)ですが、アマンダのお母さんはベイビーのバックコーラスを務めていた女性だそうで、なかなかのサラブレッドなんですね。
アマンダは1991年リオ生まれ(なので発音を聞いているとリオ訛りで「シュッシュ」言ってます♡)。音楽一家に生まれた訳ですが、曽祖母がその年代してはめずらしくギターが弾ける女性だったそうで、その存在がアマンダに大きな影響を与えたそう。その後も楽器を弾きながら歌うスタイルの女性歌手を好んで聞いていたようで、9歳になった時にはアリシア・キーズ、ノラ・ジョーンズ、ニーナ・シモンを聞いていたのだとか。
両親はアマンダが6歳の頃に離婚し、父はサンパウロへ。アマンダも音楽的機会の多さなどからのちに父を追ってサンパウロへ移住し、サンパウロ大学演劇学科へ。卒業後は俳優業が順調だったようで、Netflixの3%シリーズに出演して広く知られるようになり、映画に出演したりしていたらしい。
そんなこんなでアマンダがシングルをリリースし始めるのは2018年以降のこと。デビューシングル「Fazer valer(ファゼール・ヴァロール)」はサウンドとのギャップが面白いところですが、仏教に影響を受けた歌詞だそう。そして2019年のセカンドシングルがこちら。失恋の後に書いたそうで、演劇の上演のために行ったフランス滞在時によく聞いていたジプシー・ジャズに影響を受けた曲。なかなか面白いですね。同じ2019年のサードシングル「Coração Só(コラサォン・ソー)」はフォークポップ。この時点で3曲のバリエーションが豊かで驚かされます。
そして!なんと4枚目のシングル「Saiba」にあのSeu Jorge(セウ・ジョルジ)がゲスト参加!!楽曲制作の方にはGrooveria(グルーヴェリア)のTuto Ferraz(トゥット・フェハス)も加わっています。なかなかオトナなクリップビデオなんで、ちびっ子は見ないようにしましょうか。
前出の「Saiba」も収録した待望のファーストアルバムがこちら!なんとLiniker(リニケール)とのデュエット曲「Talismã(タリスマォン)」も!YouTubeにはレコーディングの様子を撮影したクリップビデオが上がってますのでぜしぜしチェックを。どの曲も良いのでぜひに各プラットフォームで全曲聴いてくださいまし。ちなみに、「O amor te dá(オ・アモール・チ・ダー)」は、ブラジルGlobo TVの連ドラ「Mania de você(マニア・ヂ・ヴォセ)」のサントラで使われたため再生回数が伸びてマス。そしてこちらもクリップビデオがありますので上記YouTubeからご覧ください♪ブラジルらしいカラフルさで良いです🇧🇷
思春期の頃は、ジミ・ヘンドリックスなどの古典的なロックをよく聴いていて、その後は父のブラック・ミュージックに影響を受けたというアマンダだけれど、なんとこんなガットギター一本のアコースティックソングも素晴らしいのですよ。伸びやかな歌声に着実な実力を感じます。シンプルなMPBを歌っても最高!
その他に本人が影響を受けたと言っているアーティストは、Daft Punk, FKJ, Hiatus Kaiyote, Solange Knowles, Ray Charles, Zaz, Flume, BaianaSystem, Céu, Rita Lee, Liniker, Jorge Aragão, Mozart, Alcione, Erykah Badu, Madonna, Elis Regina, Björk, Amy Winehouse, A Tribe Called Quest, Childish Gambino, Rosalía, Jorja Smith, Letrux, Caldeirão, Quincy Jonesだそうで、ジャンルとか国とか言語とか関係なくなんでも吸収しちゃうんですね。2023年のセカンドアルバムまでの間にリリースされている数枚のシングルでその辺が良く分かるのでそちらも是非ともチェックを!
ブラジルのSudeste(スデスチ、南東部)とNordeste(ノルデスチ、北東部)のリズムを現代的な解釈したというコンセプト。ブラジル南東部はリオデジャネイロやサンパウロを含む大都市圏、北東部は伝統的なリズムが豊かなペルナンブーコやバイーアを含む地域。その通り、曲によって表情がすごく変わる聞き応えのある一枚です。そのため、ゲスト陣もバイーア州のAssucena(アスセーナ)、サンパウロのLurdez da Luz(ルルデス・ダ・ルス)、Banda Black Rio、ペルナンブーコ州のAs Filhas de Baracho(アス・フィーリャス・ヂ・バラッショ)など各地から多彩なアーティストが集結。いやー、どの曲も面白いのでおすすめなのですが、特に北東部を代表するM5「Papai Vai(パパイ・ヴァイ)」は、アス・フィーリャス・ヂ・バラッショ(Dulceドゥルシ& Severinaセヴェリーナ姉妹。父は「シランダの王」と呼ばれたバラッショ。姉妹のアーティスト名は「バラッショの娘たち」の意)のコーラスから始まり、意外なアレンジが非常にかっこいいので特に聴いていただきたい!!ちなみにこの曲の作詞作曲は ドゥルシによるもので、サビの「Odoyá iê」という歌詞は海の女神Iemanjá(イエマンジャ)に捧げる言葉。そしてボーナストラック「Com Ela Eu Vou(コン・エラ・エウ・ヴォウ」は父との共作共演!これまた最高にかっこいいんでお聴き逃しなく!!踊れる人は踊るが良い!!
そして最後にこの曲を紹介したい!!今や世界を賑やかしているトランプ大統領。ブラジルはといえば、しばらく左派のルーラ大統領と親米のボルソナロ大統領が支持を二分していましたが、ボルソナロ元大統領は2025年2月に起訴されて同年9月にクーデター未遂などの罪で禁固刑を言い渡されてただいま服役中です。そんな最中の7月にリリースされたこの曲はそんなトランプ大統領とボルソナロをちょっと茶化した歌詞で「ねえトランプ大統領!私の父さん(=ボルソナロ)を助けてよ、逮捕されないなら関税かけないって言ってよ」というフレーズがひたすら繰り返されます。ジャケットのビーサンの足にGPSくくりつけられてる写真もパンチありますね^^; それにしてもこの曲、作詞作曲からアレンジまですべてアマンダが1人でやったようで、素晴らしいキレの持ち主であります。
なんと今年、新しいアルバムをリリースする予定だとか。その名も『Era Uma Vez o Amanhã(エラ・ウマ・ヴェス・オ・アマニャォン)』。訳すと「むかしむかし、未来(明日)というものがあった」という、ちょっと現代に対する皮肉っぽい感じのタイトル。冒頭の「Amores vêm e vão(恋は来ては去っていくもの)」の説明に書いたように、アマンダは、今後は恋愛ソングではなく社会的な曲を書いていいきたいという意欲を見せていますので、このトランプとボルソナロに捧げる曲のように、彼女のキレとセンスの良さと歌唱力と作詞作曲能力を武器に軽やかに現代社会をバッサリやってくれるのではないかと思います!手腕に期待!!
